1989年公開当時の作品紹介
1986年4月26日未明に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故から3年が過ぎた。この原子力発電史上最大・最悪の事故は、広島原爆の35倍という、今まで人類が経験しなかった量の死の灰をばらまき、想像を絶する大惨事となった。外部被曝により、多くの人が苦しみ、大地や海に降り積もった放射能物質は環境を破壊し、食料を汚染させ、内部被曝による被害は半永久的に増え続けるのである。
日本でも事故後、放射能異常値が検出された。現在でも輸入食品を中心とした毎日の食卓に、汚染が広がっており、放射性物質が体内に蓄積されている。
我々がこの放射能から受けたく範囲で深刻な汚染は、次世代にも生命と健康の破壊がもたらす。
現在日本では38基の原子力発電所が稼働している。原子力の“平和利用”という名の下に、知らず知らずのうちに我々は原子力発電を容認してきてしまった。今も放出される放射能や核廃棄物を処理する方法を知らないまま運転を続けている。もう無関心ではいられない。もしもう一度チェルノブイリ・クラスの大規模な事故が起これば、たぶん世界中の原子力発電は止まるだろう。でももうその時では遅いのである。
若い映画人が立ち上がり、自分たちの力で製作上映に乗り出した。